ありのスポーツどうなん第75回「スポーツ(運動)することのリスク」
北九州市障害者スポーツセンター
所長 有延 忠剛
「スポーツを通じた共生社会の実現に向けて・・・」今や、スポーツの場面で、あるいは
スポーツを語る上での常套句。
私自身、アレアスで長年勤務する中で、常にそのことを念頭に置いて
きた。
その中で、これまで自分の中で出てきた答えの一つ。
それは、「ともにある(いる)」こと。
ともにある(いる)ことで、日常的に身近に互いの存在を知る、理解するこ
とに繋がっていく。
時間の経過の中で「なじむ」という感覚に近いかもしれない。
ともすると我々は知らず知らずのうちに居心地の悪さを感じる「アウェー」より、本能的に「ホーム」であることに居心地の良さを感じて生きている面もあると思う。
ゆえに、互いに「なじむ」ことは実は重要なのだと思う。
そして、最近になって、もう一つ、共生社会の実現に向けての二つ目の答えを得た。
そのヒントとなったのが、実はアレアスの意見箱であった。
利用者から、日常的に様々なご意見が寄せられる意見箱。
できるだけ回答を作成し、館内に掲示しているが、ご意見の内容、文面は様々。
内容はさておき、文面次第で、それを読んだ時の私自身の反応、心情の違いを自分で感じたのである。
「!」で強く主張されたときの心情と、「?」で問われたときの心情のちがいである。
不満や感情をそのままぶつける「!」。これはマイナスの印象を強く与える批判となり、衝突や対立へと繋がる。
一方の「?」。「不満」を「疑問」に置き換えることで、冷静に理由を問うことになり、理解や共感というプラスのコミュニケーションに繋がっていく。
自己主張の「!」と他者理解の「?」。コミュニケーションの取り方次第で結果は大きく異なるのである。